This text and picture is Copyleft. becouse we are Free sex !

are you 15 ?
  • Twitter Social Icon
  • icon_app
notice

 『虚無への供物』に於いてアンチミステリの金字塔を打ち立てた中井英夫のもう一つの代表作に『とらんぷ譚』がある。

 スペードとして13篇の『幻想博物館』、クラブとして13篇の『悪夢の骨牌』、ハートとして13篇の『人外境通信』、ダイヤとして13篇の『真珠母の匣』を配し、計52篇。ジョーカーの短編2稿を加えたトリッキーな連作集は、しかし各章ごと、或いは抄録という形になることはあれ、54篇が揃って編まれるのは作者の生前、1980年、平凡社の『とらんぷ譚』只、一度きりであった。以降、作者の死後、創元ライブラリで1996年に文庫版として再度、中井英夫全集3として『とらんぷ譚』の全カードは揃う機会を得る。

 多くのロリータ達の例に洩れず、僕も常、トランプというモチーフに尋常ならぬ執着と興奮を持つ。このノバラ座に於いてコキヤージュペンダントの通信販売をした。封筒をポーチとして再利用出来る為のシールを付属させる際、そこに西洋のトランプの一葉をアトランダムに選んでいれた。折、オリジナルのトランプを作りたいというかねてからの想いが強く蘇ってきた。今回、制作した50thオリジナルトランプは、52枚の表面を順番に全て並べると1枚のパノラマ写真が現れる仕掛けになっている。撮影はライト商會の店内で行ったので、僕という被写体に興味がなくともあの骨董屋の雰囲気が好きな方には購入をオススメしたい。

 黒鳥、月蝕領……。煌びやかで風雅な文体の中、中井英夫は独自のゴシック的モチーフと幻影世界を描いた。また多くの浪漫派や神秘主義者と同様、薔薇を偏愛した。今回のノバラ座では、彼のゴシック領域に、己と入場者を混入させてみようと思う。ゴシックの領域は下手に扱うと安っぽい衒学趣味に陥るので、これまで案外と僕が避けてきた場所である。されど、タンツス・アモール・ラディコルム——なべての愛を根に——だ。この期間、僕は中井英夫の為の、漆黒の薔薇園をこしらえその主人となろう。薔薇を己の通り名としてきたことへのささやかな献上として……。